湯気がおいしい季節
皆さま、こんにちは☺️
オンラインスタッフのケコです。
朝、窓を開けると、少しひんやりとした空気が頬をなでるようになりました。
夏の名残を感じていた日々も少しずつ過ぎ、秋が深まってきたことを教えてくれます。
二十四節気では、この頃を「寒露(かんろ)」と呼びます。
草木に宿る露が冷たく感じられ、本格的な秋へと移り変わる頃。
大きく景色が変わるわけではありません。
毎日の暮らしの中には、小さな変化が少しずつ増えていきます。
その一つが、お茶を淹れる時間です。
夏は、冷たいお茶がおいしい季節でした。
グラスに注いだ水出し茶が、身体にすっと染みわたる。
そんな一杯を何度も楽しみました。
寒露を迎える頃になると、急須にお湯を注ぐ回数が増えてきます。
湯気が立ち上る。
その景色を見ているだけで、なんだか心まで温まるような気持ちになります。
私は、お茶のおいしさは味だけではないと思っています。
急須から立ちのぼる湯気。
ふわりと広がる茶葉の香り。
湯呑みを包む温もり。
一口飲む前から、お茶の時間は始まっています。
だから寒露の頃になると、「湯気までおいしい季節が来たな」と感じるのです。
お湯を沸かし、急須を温め、茶葉にお湯を注ぐ。
静かに待つ時間。
湯気を眺める時間。
そんな何気ない時間が、慌ただしい毎日の中で、少しだけ気持ちを整えてくれます。
寒露は、そんな時間が少しずつ恋しくなる季節です。
京都・宇治でも、朝夕の空気がぐっと澄んできます。
店先に立つと、季節が変わったことを風が教えてくれる日があります。
そんな朝に淹れる煎茶は、夏とはまた違った表情を見せてくれます。
香りは少しやわらかく。
湯気は少しやさしく。
飲み終えたあとには、身体の中までゆっくり温まっていくような心地よさがあります。
寒露は、冬の入り口ではありません。
秋をゆっくり味わう時間の始まりです。
湯気を眺めながら、お茶を淹れる。
そんな何気ない時間が、少しだけ贅沢に感じられる季節でもあります。
今日は少しだけ早起きをして。
お気に入りの急須と湯呑みを用意して。
立ちのぼる湯気を眺めながら、一服のお茶を淹れてみませんか。
味わうのは、お茶だけではありません。
湯気も、香りも、その時間そのものも。
寒露は、お茶の時間がいっそう豊かになる季節なのだと思います。

