みなさま、こんにちは☺️オンラインスタッフのケコです。
今年も、新茶の季節がやってきました。
毎年この時期になると、茶畑には、どこか張りつめた空気が流れはじめます。
まだ朝の冷たさが残る時間。
露をまとった新芽が、静かに光を受けている。
その景色を見るたびに、「ああ、今年のお茶が始まるんだな」と感じます。
今年も、決して穏やかな一年ではなかったと感じています。
夏の厳しい暑さ。
そして、1月から2月にかけて続いた、極端な雨不足。
茶の木にとっても、簡単な季節ではなかったように思います。
春先になってからは、少しずつ気温がやわらぎ、
新芽も急激に硬くなることなく育ってくれました。
湯を注いだ瞬間、一気に立ち上がる、青く鋭い香り。
やわらかい、というより、まっすぐに駆け抜けていくような新茶の香気。
今年の新茶は、そんな“静かな強さ”があると感じます。
特に上質な新茶では、若い芽だけが持つ、みずみずしい香りが豊かに現れました。
素材の持つ香りをそのまま引き出す。
宇治の新茶らしい、透明感。
ひと口目には、若葉のような青い香り。
そのあとから、旨み、甘み、そしてほのかな苦渋味が、ゆっくりと重なっていきます。
苦味や渋味というと、どこか避けるもののように感じるかもしれません。
ただ強いだけではない、美しさがあり、輪郭をつくるような苦渋味。
その存在があることで、香りも、甘みも、より鮮やかに感じられる。
今年の新茶には、そんな奥行きがあります。
鮮やかな香り。
清涼感。
何煎も重ねながら変化していく味わい。
そうした“煎茶らしさ”は、世界的抹茶ブームの中、
これから少しずつ、貴重なものになっていくのかもしれません。
そんな思いもあってか、今年の新茶を口に含んだ瞬間、
どこか特別なものを受け取ったような気持ちになりました。
自然の厳しさの中で育ち、
人の手で丁寧に整えられた茶葉。
その一杯には、
今年だけの季節が、確かに閉じ込められています。
湯気の向こうに立ちのぼる、
まだ少し青い香り。
その瞬間を、
どうぞゆっくり味わっていただけたら嬉しいです。
