茶を届ける人たちの話 Vol.1

みなさま、こんにちは☺️オンラインスタッフのケコです。

お茶を飲んでいると、ときどき思うことがあります。

この一杯ができるまでに、
どれくらいの時間と、どれくらいの想いが重なっているのだろう、と。

今回、いつもお世話になっている茶農家さんに、お話を伺う機会がありました。

茶畑のこと。
宇治茶のこと。
そして、これから先に残していきたいものについて。
静かに、けれどまっすぐに話してくださった言葉が、とても印象に残っています。

「自分にとって、お茶とはどんな存在ですか?」
まず最初に、そんな質問をさせていただきました。
少し間を置いてから、農家さんはゆっくりと話してくださいました。

「お茶って、しっかり残していかなあかんのかなと思ったんです。」
宇治茶が頑張ってくれへんと、日本茶の未来はあらへん。
そんな言葉を、何度も聞いてきたそうです。
「最初は、その言葉が苦しかったです。」
けれど今は、“どう残していくか”を考えるようになった、と。
「伝統って言葉は、あんまり好きじゃないんです。」
少し笑いながら、そう続けてくださいました。
「“伝統”って、止まってしまう感じがして。」
宇治茶を、ただ昔からあるものとして残すのではなく。
次の世代が、ちゃんと誇りを持てるものとして残したい。
「宇治茶っていうプライドとか、技術とか。次の人たちが、それを持てる時代を作っていかなあかんなと思ってます。」

その言葉を聞きながら、
私は茶畑の景色を思い浮かべていました。

朝露をまとった新芽。
霜を気にしながら迎える朝。
雨を待つ時間。

毎日同じように見える景色の中で、
ほんの少しの変化を見続けている人がいる。

次に「中村藤吉本店と一緒に仕事をしていて感じること」をお聞きしました。

「農家って、こだわりがあるっちゃあるし、ないっちゃないんです。」
そう言いながら、少し笑われていました。
「でも、ここだけは譲れへんっていうところはある。」
農家さんが大切にしていることが、どんなふうにお茶として仕上がるのか。
市場に出たあと、見えなくなる部分も多いそうです。
「もっとこだわっていいんやって思えるんです。」
その言葉が、とても印象に残っています。

「スタッフさんからも、茶農家へのリスペクトを感じるんです。」
茶葉の香りをどう残すか。
どこまで火を入れるか。
どんなお菓子や商品として、お客様に届けるのか。

その一つひとつに、ちゃんと向き合ってくれている。
「それが、農家にとって希望になるんです。」
次の世代に何を残すのか。
その輪郭が、少しずつ見えてくるのだと話してくださいました。


「お茶を作るとき、自分の中で大切にしている基準はありますか?」
そうお聞きすると、少し考えながら、こんな言葉を返してくださいました。

「自分の作りたいお茶を、素直に作りたいんです。」
お茶離れ。
高級茶を作る意味。
本当に飲んでくれる人がいるのか。
そんなことを考え続けるうちに、“こだわること”が苦しくなった時期もあったそうです。
けれど今は、誰かに合わせるためではなく、自分が本当に美味しいと思うお茶を、まっすぐ作りたい。
そう思うようになった、と。

さらに、茶農家として大切にしていることについても伺いました。

「小さい頃から、ずっと言われてきたんです。」
茶園を跨ぐな。
茶園に足を向けるな。

思わず笑ってしまいましたが、
そのあとに続いた言葉が、とても静かに残っています。

「それくらい、茶畑を大事にしてきたんやと思います。」

茶畑を、ただの仕事場ではなく、大切に守る場所として扱ってきた時間。
その感覚は、きっと今も茶葉の中に残っているのだと思います。

最後に、10年後、20年後のお茶の世界についてもお聞きしました。
「海外でもお茶づくりが始まっていて、日本の茶農家がどうなっていくのかなっていう心配はあります。」

けれどその一方で、日本茶への誇りも、強く感じておられました。
「日本のお茶は、品質では世界一やと思ってます。」
品評会。
お茶を見極める茶師。
お茶の知識を深める日本茶インストラクター。
長い時間をかけて積み重ねてきた技術と文化。

「10年後、20年後も、その誇りを持ち続けられる環境であってほしいです。」

湯気の向こうに立ちのぼる香り。
その一杯の中には、茶畑で積み重ねられてきた時間が、静かに残っています。
みなさまも、お茶を口に含んだとき、その向こうにある景色まで、少し感じていただけたら嬉しいです。

Back to blog