本店のカフェに飾られた「蘭字」の話

みなさま、こんにちは☺️オンラインスタッフのケコです。

本店のカフェで、お茶をお待ちいただいている時間。

壁に掛けられた一枚の絵のようなものに、ふと目が留まったことはありませんか。

色鮮やかな文字や模様が描かれた、その紙。

実はこれは「蘭字(らんじ)」と呼ばれる、お茶を海外へ輸出していた時代に使われていたラベルです。

今では美術品やデザインとして目にすることもありますが、本来は、お茶箱に貼られていた大切な目印でした。

 

海を渡った、一枚の紙、蘭字とは?

治時代、日本のお茶は世界各国へ輸出されていました。

横浜や神戸の港から船に積まれたお茶は、長い航海を経て、アメリカやヨーロッパへ。

その木箱には、それぞれのお茶を表すための「蘭字」が貼られていました。

異国の言葉で書かれたブランド名。

鮮やかな色彩。

華やかな意匠。

まだ写真が一般的ではなかった時代、一枚のラベルが、お茶の品質やつくり手の想いを伝える役割を担っていたのです。

 

 

現在、本店のカフェとして使われている建物は、もともと製茶工場として使われていた場所です。

この場所で仕上げられたお茶もまた、木箱に詰められ、蘭字を貼られ、宇治から世界へ送り出されていきました。

今、お客様が座っているその場所で。

職人たちは茶葉を見極め、火を入れ、香りを確かめながら、一つひとつのお茶を仕上げていたのです。

壁に飾られた蘭字は、その頃の記憶を静かに伝えています。

 

 

 

着物を着た女性が人力車に乗っているイラストや、デザイン性の高い英字。

 

 

当時の、日本の浮世絵の高い印刷技術を生かして作成され、現在も貴重な資料とされています。

 

 

時代が変わっても、届けたいものは変わらない

当時のお客様に届けたかったものは、ただ「お茶」ではありませんでした。

宇治という土地で育まれた香り。

丁寧に仕上げられた品質。

そして、お茶を味わう豊かな時間。

時代は変わり、届ける方法も、箱も、ラベルも変わりました。

けれど、「一杯のお茶を通して、豊かな時間を届けたい」という想いは、今も変わることなく受け継がれています。

壁に飾られた蘭字は、そんな歴史を語る展示品ではなく、今につながる物語の一部なのかもしれません。

本店のカフェで過ごす時間。
お茶が運ばれてくるまで、少しだけ壁にも目を向けてみてください。

一枚の蘭字の向こうには、この場所が製茶工場だった頃の風景があります。

茶葉を仕上げる音。
立ちのぼる火の香り。
木箱が運ばれていく景色。

そして、そのお茶が海を渡り、遠く離れた誰かのもとへ届いていく物語。

一杯のお茶を味わう時間が、少しだけ深く感じられるきっかけになれば嬉しく思います。

 

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